くまのプーさんという、
おそらく業界人気ナンバーワンの熊がいるが、
なぜ人気があるかと言うと、人を襲わないからである。
もしあの濃厚イエローな熊が、濃厚レッドのチョッキを着て、
人を襲っていたら目立つので、簡単にSNSで拡散され、網で捕獲される。
さらに、目の前に鮭を置いても咥えずに、
はちみつを舐めているばかりなので、メタボである。
これでは簡単に網で捕獲されてしまう。
2足歩行なのも、熊らしくない。
手足のバランスにおいても、彼は速く走れそうにはなく
簡単に網で捕獲しやすい。
私はたまに登山をするのであるが、
登山者の多くはクマよけに小さな鐘や鈴を、リュックにつけているが
その音を聞いても彼はのんびりしているであろう。
むしろ、彼はその音のするほうに近寄っていってしまうに違いない。
それがクマのプーさん。
基本的に彼は、網で捕獲されやすいようになっていて、
この捕獲されやすいほんわかした雰囲気が人気の秘密のひとつであるように思える。
このクマのプーさんであるが、
赤ちゃんグッズとしても人気がある。
うちにも、ひとつ、ある。
棒状のプーさんでプレゼントでもらった。
棒状部分なのは持ちやすくするためで、握ると、「ぷゅー」と鳴く。
この音が、なんというか歯がゆい音というか、鼻の奥からでてるような絶妙な音で、この音を娘に聞かせると、必ず嫌そうに目を閉じる。
なぜ、娘がそのようになるとかと考えてみると、我々でいうところの、学校の黒板を引っ掻く音のような感じではないかと思っている。
でも、私は、この音が好きだった。
最初聞いたとき、郷ひろみの声か、と思った。
そして毎日、プーさんの鳴き声を聞くのが日課になっていた。
それが、先日の事である。
妻が実家に帰った際に置き忘れてきてしまったのだ。
その日から、あの鳴き声が聞けなくなってしまった。
だけれど、私の耳にはあの声が記憶されている。